鮮やかな緑色をした、星の形の莢(さや)が目を引く南米ペルーアマゾン熱帯雨林を原産地とする「インカインチ」と呼ばれる植物があります。この星型の莢の中に生るナッツを、コールドプレスで圧搾した油が「グリーンナッツオイル」です。
女性誌などを中心に、「体に良い油」や「美容に役立つ油」として大人気のオイルです。オメガ3がとても豊富でビタミンEを多く含むこの新しい食用油が、エゴマ油やアマニ油と並ぶか、またはそれらを上回る機能性を有する可能性が明らかとなりつつあります。
インカインチは、ペルーアマゾン熱帯雨林に分布するトウダイグサ科の蔓性常緑樹で、地域によって「サッチャインチ」と呼ばれていますが、学名は「プルケネティア・ボルビリスL.」と言います。「プルケネティア・ポリアデニア」、「プルケネティア・ウアイリャバンババナ」、「プルケネティア・ブラチボトリア」、「プルケネティア・ロレテンシイス」などの近縁の野生種があり、しばしば混同されますが、最も利用価値の高く、現在ペルー国内で一般的に栽培されているのは、「プルケネティア・ボルビリスL.」です。
1989年にペルー国立農業技術研究所がインカインチに関する研究に着手しました。その中でブラジル、エクアドル、コロンビア国境付近を含むペルー国内を対象にフィールド調査が実施され、52種類のエコタイプ及び品種を収集、その後の研究で8種類が優良品種として選定されています。
インカインチが現在のように農産物として栽培が開始されたのは、今から10年程前のことで、このペルーアマゾン原産のナッツにビジネスとしての価値を見出した、自然愛好家でもありまた発明家としても知られるペルー人のホセ・アナヤ博士が、農民にアグロフォレストリー栽培(農地に樹木を植えて森林を育てながら、樹間で農作物の栽培をする)を奨励したのが始まりと言われています。
その後、アナヤ博士が設立したアグロインダストリアス・アマゾニカス社は、インカインチ油を2004年のフランスSEAL国際見本市に出品し、オメガ3脂肪酸の含有率の高さが注目を集めました。同年6月には、食の都パリで開催された国際食用油コンクール『パリウォルル食用油サロン』において、オリーブオイル以外の植物油部門で金を獲得し、これがきっかけとなり、ペルーの都市部でも注目を集めることとなりました。
インカインチの脂質を構成する脂肪酸組成は、オメガ3不飽和脂肪酸(α-リノレン酸)が多く、概ね50%を占めています。オメガ3の含有量としては、日本のマーケットで現在手に入る植物由来のオイルの中で、最も多い部類に入ります。
一方、オメガ6(リノール酸)の含有率は30〜35%ですから、必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)が、全体の80%以上と高い割合を占め、且つバランス良く含まれているのが特徴です。
酸化防止効果を有するビタミンEも200mg(100g中)以上含んでいます。このオイルの酸化抑制性能をPAO-SO検査で測定したところ、市販のエキストラバージンオリーブオイルの約2.5倍という、極めて強い力を有する結果が示されました。
これを踏まえ、昭和女子大学福島正子教授の研究グループが行ったヒト臨床試験では、DNAの酸化損傷抑制作用が突き止められています。この研究成果は、日本脂質栄養学会の学会誌「脂質栄養学Vol19,No1」(2010年3月発行)に掲載されました。
インカインチの種実の栄養成分は脂質が約5割、タンパク質が3割強を占めています。
●タンパク質・・・33.3%
●脂質 ・・・48.7%
●炭水化物 ・・・9.5%
●繊維質 ・・・1.6%
●水分 ・・・4.2%
●灰分 ・・・2.7%
●熱量 ・・・562カロリー
インカインチのアミノ酸組成について、2002年にフロリダ州立大学の研究グループが興味深いデータを発表しています。インカインチには、WHO世界保健機関が推奨するアミノ酸摂取パターンとの比較において、2歳以下の乳幼児に対し摂取が推奨されているヒスチジンを除き、すべての必須アミノ酸について十分な量を含有しているとされています。
これは、成人のアミノ酸摂取要求に対しては、完全なタンパク質であることを意味しますが、我々の知るところでは、植物の種子由来としてはこれほどまでに栄養的に完成度の高いタンパク質は、他にはありません。
グリーンナッツオイルは、ペルーアマゾン産インカインチを100%使用しています。オメガ3リッチですが、天然の酸化抑制成分を多く含んでいるので、5分ほどなら炒め物などの加熱調理にも利用することができ、酸化防止剤を添加していないにもかかわらず、比較的長い賞味期間(約1年半)を提供します。
風味は、油としてはあっさりしていて食べやすく、色々な食材と合わせて調理すると、食材の持つ美味しさを引き出すので、優れた調味料と言うことができます。オリーブオイルのように、オイルをパンに浸して口に入れると、最初にほのかな果実臭と圧倒的な緑の味を感じますが、オリーブオイルよりもサラサラしていて、直ぐにシュッと舌の上から消えて行くので、後味は爽やかです。
・ジュースにティースプーン半分〜1杯混ぜる。
・パスタソースやマヨネーズ作りに。
・そのまま飲んだり、豆乳、ヨーグルトなどに混ぜて飲む。
・サラダのドレッシングオイルとして。
・納豆に混ぜたり、冷奴にしょう油やタレと混ぜる。
・焼いたパン、出来立てのパスタ、グラタンなど、調理後の暖かい料理にかける。
オメガ3は良質なたんぱく質を同時に摂る事で相乗効果を高めることが報告されています。
・豆腐納豆などの大豆製品、カッテージチーズ、肉類などと合わせて摂る。
※すき焼きなどを溶き卵で食べる様な時も、卵にインカインチを混ぜて食べる。
グリーンナッツオイルは、ペルーアマゾンで伝統的、且つ自然で農薬を使わない方法で栽培されたインカインチナッツを使用しています。また、アグロフォレストリー(樹木と農産物を同じ場所で同時に栽培する)方式により生産された種子も積極的に使用しています。遺伝子組み換え原料や食品添加物は一切使用されていません。種子からオイルを作る搾油工程では、コールドプレス(低温圧搾)方式を採用し、ヘキサンなどの溶剤を使用したり、精製などの化学的処理がなされていないことを保証いたします。一回の圧搾の後、デカンタ槽でオイルを落ち着かせ、フィルターで濾過をし、缶に充填しています。すべての生産ロットについて日本国内で品質検査を行っています。