ゼローフードの主役 “穀物”
 
■主食(穀物・雑穀)
栄養豊富な玄米
完全な玄米菜食は体調管理や、治病を目的に、短期または一定期間に限定することをおすすめします。長期実行は場合によってリスクが生じるので注意が必要です。玄米は、ビタミンB群や食物繊維が多い胚芽や、糠があるため完全食品といわれています。ただし消化が悪いので、やわらかく炊いてよく噛むことが大切です。手軽に炊ける玄米モードつきの炊飯器も出回っています。また、玄米から糠だけを除いたのが胚芽精米。50%除くと5分づき米、70%除くと7分づき米といいます。玄米より多少栄養は落ちますが、消化がよく食べやすくなります。
発芽玄米
発芽玄米は、玄米の芽を小さく出させて、低温で維持させたものです。玄米を買ってきて、自宅で作ることもできます。玄米よりも栄養が豊富で、やわらかく甘みがあります。炊飯器で炊けて、冷めてもボソボソしません。
古代米
およそ2500年前、日本に伝来した米の原生種といわれる赤米と黒米。たんぱく質や各種ビタミン、ミネラルを豊富に含み、古くから薬膳にも使われていることから薬米の別名も。いずれも開封後は密閉容器に入れ、高温多湿を避け、冷蔵庫などで保存しましょう。なるべく半年以内に使い切るようにします。

●麦
最近注目の麦の種類
麦も米と同様イネ科の穀類ですが、白米こ比べ2倍のタンパク質、4倍のカルシウムを含み、食物繊維、ビタミンB群なども豊富です。糖尿痛に効く善玉コレステロールも増やすため、改善食としても注目株です。
滋味あふれる大麦
大麦※を精麦して二つ割りにしたものが、丸麦。カルシウムや鉄の含有量が高く、みそやしょうゆなどの加工品にも利用されます。
麦とろの味と食感に欠かせない押し麦は、丸麦を加熱しながら平たく押したもの。粒の真ん中にある黒い溝にビタミンB1が多く含まれています。
大麦 ※昔、大麦は粒のまま炊いて庶民の主食に、小麦は粉にしてお菓子の材料にされていました。
タンパク質やミネラルが豊富で、善玉コレステロールを増やし、血液の循環や質を改善する。美肌効果も高い。
未精製の小麦とハト麦が人気
パンの原料となる小麦は、外皮や胚芽にビタミンB群や玄米の2倍の食物繊維を含んでいます。最近は精白された小麦粉よりも、もみ殻だけを取り除いた小麦粒や、精白せず、粉にした全粒粉が人気です。また、漢方の生薬でもあるはと麦※は、血液の循環を良くし、体内の水分代謝を促進させる物質を含んでいて、にきび、肌荒れなどに効くとされています。いずれも開封後は密閉容器に入れ、高温多湿を避け、冷蔵庫で保存。半年以内に使い切ります。
はと麦 ※東南アジア原産。江戸時代に中国から伝わり、主に薬用として栽培されていました。
パンの歴史 パンの歴史
●豆

様々な生活習慣病予防に期待
豆は、大きく「大豆」「小豆」「いんげん豆」の3種類に分かれます。大豆には、一般的な黄大豆のほかに、黒豆、青大豆があります。「畑の肉」といわれるほどタンパク質が豊富で、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養もたっぷり。特に血中コレステロールを下げるリノール酸、高血圧や動脈硬化を防ぐレシチンなど、骨粗鬆症や更年期障害に効果的な成分が注目されています。
便秘に効く小豆
赤飯やあんに使われる小豆には、100g中11.8gとごほう以上に食物繊維がいっぱい。強い抗酸化作用を持ち、ガン予防によいとされるサポニンも豊富。いんげん豆は、カリウムを多く含む金時豆、白金時豆のほか、白あんなどの原料になる白いんげん豆など種類も豊富。
大人気のひよこ豆
最近では様々な豆が輸入されています。特にペルシャ原産のガルパンゾは日本でも人気があり、ひよこ豆と呼 ばれています。カルシウム、鉄、カリウム、ビタミンB若を豊富に含み、インドやモロッコ料理には頻繁に登場。豆はいずれも開封後は密閉容器に入れ、高温多湿を避け冷暗所で保存を。

豆※古事記の五穀起源の神話には、人間の命にとって大切な五穀として、米・麦・粟・小豆・大豆があげられています。重要なタンパク質や脂肪源として古くから日本で作られてきた重要な穀物のひとつです。

☆雑穀
●あわ
豊かな食物繊維と軽い食感が魅力
きび、ひえ同様、生命力の強い作物です。米などと一緒に炊くと、ふわふわと軽い食感が楽しめます。食物繊維が豊富で、炭水化物は少ないので、ダイエット効果も期待。胃腸や腎臓の働きを助け、利尿作用があるともいわれています。密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存。半年以内に使い切りを。

粟※奈良時代には、米と粟は正規の租税として扱われるほど、長い間庶民の主食であった。酒を醸造する原料としても使われている。五穀の中でも鉄分の多い粟は、貧血予防に効果的。
●きび
栄養豊富で低カロリー
草丈1m前後のイネ科の植物。稲作以前の日本では、荒れ地でも短期間で育つ貴重な食物でした。良質のタンパク質、ビタミンB群、鉄、食物繊維を多く含み、穀物の中では最も低カロリー。胃腸や呼吸器系に効くと、風邪予防の薬膳料理などの使われます。密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存。半年以内に使い切りを。
きび※うるち、もちの区別がある。ごはんやおかゆにしたり、粉にして団子や和菓子の材料として使われてきた。昔話の桃太郎に出てくるとおり昔から貴重な穀物でした。亜鉛を多く含む。味覚を正常に保ち、皮膚のトラブルや感染症の予防に役立つ。
●ひえ
稲よりも先。日本最古の穀物
環境適応(冷害や干ばつに強い)に優れ、保存性も高いため、不作に備える食物として重宝されてきました。米と混ぜて炊くか、粉にして菓子などの加工品とするのがほとんど。タンパク質や鉄分の他、ビタミンB1などの栄養素も多く含みます。開封後は密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存。半年以内に使い切りを。

ひえ※縄文時代から栽培されていたといわれ、米作のできない急斜面の多い農村では主食用の穀物とされていた。昔は、みそ、しょうゆ、焼酎の原料にも使われていた。

☆その他の雑穀

●キヌア
NASAも注目の穀類
キヌアは、南アメリカ大陸アンデス原産のアカザ科の一年草。数千年前から、南米ペルーのアンデス地に住む人々に、主食として大切に食べ継がれてきた穀物です。アメリカのNASA宇宙開発局が、「21世紀の地球上生物の主食になる」と発表したため、欧米などで注目を集めています。
栄養面も完璧
良質のたんばく質、鉄分やカルシウムなどのミネラル、繊維質、ビタミンはもちろん、穀物に不足がちな必須アミノ酸もすべて含んでいます。.植物アレルギーに対する効果があるといわれ、アトピーや貧血にも効果的。理想的なダイエット食品としても注目されています。密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存。半年以内に使い切りを。
●アマランサス
お菓子にもよく合う
中南米原産のヒエ科の植物。穀類のなかまではないのですが、日本では、「凝穀物」とよばれています。ケシに似た、黄色いつぶつぶした実が特徴。白米に混ぜて炊くか、粉にしてクッキーやパンなどの材料とすると、ちょっとスパイシーな風味とつぶつぶの食感が楽しめます。ケーキやクッキーなどお菓子にもよく合います。
驚異的に豊富な栄養価
アマランサスは精白米こ比べ、食物繊維8倍、カルシウム28倍、鉄50倍、カリウム5倍を含むという驚異的な栄養価から、「スーパーグレイン」とも呼ばれています。良質のタンパク質やミネラルもバランスよく豊富です。密閉容器に入れ、冷蔵唾で保存します。半年以内に使い切りを。
●ワイルドライス
香ばしくてやみつきになる味
古くから北米大陸に自生し、インディアン達に親しまれたこの穀類は、ザイザニア・アクアテイカという植物の種子。粒は約1・5cmと細長く、黒褐色の殻でおおわれ、ナッツの焦げたような香ばしい風味です。かたい実で、やわらかくするには時間が必要。北アメリカやカナダ南部で現在も食されていますが、肉料理に添えたり、スープやプリンに加えるなど、野菜感覚での利用 がほとんどです。
大量に炊いて保存がおすすめ
手軽に料理に取り入れるには、一度に多くの量を炊いて、冷蔵庫で保存すること。1週間はもちます。タンパク質は玄米の2.5倍、鉄分は2倍と栄養価が高く、各種ビタミンや繊維質も豊富。脂肪分も少なく、消化がよいのが特徴。
●そば

江戸時代からおなじみ
生育期間が短く、冷害などの悪天候にも強いとして、日本では古くから栽培されてきた作物。今では製粉して麺にしたものが一般的ですが、江戸時代以前には、そば粉を雑炊やすいとんにして食べるのがふつうでした。ゆで汁に栄養分が流れてしまうため、そば湯も飲むのがおすすめ。三角錐の形の粒が特徴的です。
酒好きには強い見方
タンパク質、ビタミンB群、カルシウム、鉄などのミネラルのほか、血管を強くし、血圧降下の働きをもつルチン、疲労回復や炎症をやわらげる効果のあるパントテン酸、脂肪肝や肝硬変を防ぎ、肝臓を保護・強化する働きのあるコリンなどの成分が豊富で、お酒飲みの酒害を抑えることも有名です。密閉容器こ入れ、冷蔵庫で保存。半年以内に使い切りを。

そば米※かたく黒い、とがった殻から実を取り出したもの。生育期間が短く、夏と秋に収穫できます。奈良時代に朝鮮半島から伝わり、当時は不作に備える作物として栽培されていました。粉にして麺を作るほか、焼酎やそば酢の原料にします。

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