サフランは、3千年以上もの間、調味料、香料、染料、医薬として使われ続けてきました。香辛料のサフランは、サフランの柱頭 (めしべの先端)から得られ、1グラムあたりでは最も高価な香辛料の1つです。めしべを乾燥した糸状のものには苦味があり、干草に似た香りがします。独特の香りを持ち、水に溶かすと鮮やかな黄色を呈するため、南ヨーロッパ、南アジア北部、中央アジア、西アジア、北アフリカにかけて料理の色付けをする際に使用されています。プロヴァンス地方の名物料理ブイヤベースやスペイン料理のパエリア、ミラノ風リゾット、モロッコ料理のクスクス、インド料理のサフランライスには欠かせない香辛料です。織物などの染色にも使われてきたサフランの色は、多くの場合、宗教的や階級的に重要であるとされてきました。古代ギリシアではサフランの黄色が珍重され、王族だけが使う事を許されるというロイヤルカラーになっていた時代もありました。
サフランの栽培は、地中海南西部からカシミール、中国までのユーラシア大陸南部地帯で幅広く行われており、特にイラン、スペイン、インド、ギリシャが世界への供給源となりました。アメリカ大陸では、ペンシルベニア州のシュヴェンクフェルト派の教会で栽培が始められました。近年では、ニュージーランド、オーストラリアタスマニア州、アメリカ合衆国カリフォルニア州でも栽培されています。サフランの原産は西南アジアで、最初に本格的に栽培されたのはギリシャといわれていますが、地中海地方が原産地でスペインに広がったなど諸説様々です。現在のサフランの最大生産国はイランであり、世界の総収穫量の半分を占めます。