マクロビオティック(穀物菜食)専門誌「むすび」 2003年4月号
E−COOP代表 森本淳彦 インタビュー
マイクロウェイ有限会社代表取締役 正食協会にほど近い天満橋駅から京阪線に乗り、千林駅で下車。そこから歩いて5分足らずのところに森本淳彦さんの事務所があります。
宇宙全体を表す「マクロコズム」という言葉に対して、小宇宙を表す「マイクロコズム」。いわば宇宙の縮図としての人間社会を生きてゆくための方法や道のりという意味から、マイクロウェイという会社名は命名されました。健康・自然食品の販売のほか、それらに関連した情報提供などの業務を通じ、食や農業の世界にも詳しい森本さんに、いろいろ興味深い話を伺いました。
もりもとあつひこ
●昭和32年(1957)大阪生まれ。
消費者運動などを経て1999年に法人設立。
複雑化し歪んだライフスタイルを食事・運動・心の3つの方向からニュートラル調整し、シンプルかつヘルシーなゼロライフ(原点)へと導く“ゼロバランス”を提唱している。
“GENUINE FOR LIFE”(生命のための本物)をテーマに、インターネットオンラインショップE−COOPを開設した。
インタビュー記事
 ―森本さんには昨年1年間、「ゼロの風に乗れ」というタイトルで連載をして頂きました。「脳が疲れているね」という言葉が印象的だったのですが、脳をストレッチすることの意義などについてまず改めてお聞きしたいと思います。

栄養バランスを取り脳や体の緊張を緩める
人間が人間たる所以は、大脳新皮質の高度な進化にあると一般的にいわれていますが、複雑な現代を生きる我々の脳は、五感から伝わる様々な刺激や情報に対し、考え方・生き方・行動などの選択や決断、つまり進歩という名の終わりなき競争から脱落せんがための情報処理を、日々目まぐるしいスピードで行っている為、脳のこの部分の極度の緊張状態が開放できない、つまり弛緩できなくなっているのです。 例えば自然界の動物であれば、戦闘か逃避かの決断が最も大きな緊張を強いられる局面ですが、戦いに勝つか、敵から逃げることができれば、大きな安堵とともに極限の脳の緊張状態は弛緩します。しかし、人間界の場合はとにかく複雑でそんな単純に問題を解決できる状況ではありません。玄米や小麦胚芽や海草、または精製・合成抽出ではない無精製のビタミンミネラルのサプリメントを利用するなどして、最適な栄養バランスを取り戻すことで、脳や体の緊張状態はかなり改善されます。

様々な病気を招くマグネシウム不足
慢性的なマグネシウムやビタミンB群の不足が筋肉や神経等の緊張と密接に関係しています。マグネシウムは、骨づくりの援護射撃をするだけではありません。エネルギーをつくり出す反応や、タンパク質の合成、神経や筋肉がスムーズに働くために重要な役割を果たします。実に300種類以上の酵素が働くために必要なミネラルなのです。したがってマグネシウム不足は、様々な体の不調の原因になる可能性があります。最新の栄養学が明らかにした事実は、マグネシウム不足が、高血圧、心臓病、糖尿病、喘息、生理前症候群、偏頭痛など多彩な病気に関連していることを示唆しています。 カルシウムがスムーズに仕事をするためにもマグネシウムが欠かせません。カルシウムを摂り過ぎると、尿からマグネシウムが出てしまうことがあります。また、マグネシウムは、過剰なカルシウムの害である血栓、カルシウムの沈着、腎臓結石の予防もしてくれます。マグネシウムは、リラックス・ミネラルとも呼ばれ、神経や筋肉をリラックスさせる働きがあります。脳の弛緩に大切なマグネシウムですから、イライラや肩こり、こむら返りなどは、日常生活でチェックできるマグネシウム不足のサインです。穀物菜食なんかも、きっちり実行しマグネシウムが十分補える状況であればいいのですが、あまりにも栄養的価値の低い質の悪い食物が増えているのです。
-脳の緊張を解くのに、森本さんはストレッチを勧められていますね。
圧により筋肉から脳をほぐしていく
脳の緊張を弛緩させる方法として、座禅するとか、瞑想とか、気功やる人とか、いろんなテクニックがあります。
私のような凡人には無理だろうけど、毎日一生懸命にコツコツ座禅組んだり瞑想したりすれば、何年かしたら、ひょっとすると達人の域に達してα波が自在に出たりするのかもしれません。脳を緩めるためのいろんな精神的な指導とか、いろんな治療法があります。でも全部これ、上から、脳からアプローチをかけて治そうっていう考え方なのです。簡単に言ったら、政治や経済と同じくトップダウンのやり方です。逆に、これからの世の中はボトムアップに変わらないといけない。いわば末端の筋肉側から脳へのアプローチ、つまり逆療法です。筋肉の状態が脳の緊張状態をかなりうまく現している場合が多いのです。相談に訪れる方の首とか背中とか肩とか触らしてもらうと、やっぱりもう、みなさんひどく緊張している。
緊張+硬直状態にある現代人の脳を弛緩させるには、圧というのがものすごく重要な問題じゃないかということに、
ビーチで海水浴やっている人の姿を見ていてふと気がついたわけです。
5キロ前後の力で背中をソフトに
けっこうなお年の方々とか子供がね、浮き輪をつけて、海水浴場で何時間も浮いているでしょう。みんな、うれしそうな顔して、気持ちよさそうな顔して。ある日、ウインドサーフィンをやってみたいっていう友人をビーチに連れて行った時のこと。一頻り練習した後、沖合で浮き輪につかまり気持ちよさそうに漂っている彼の姿を眺めていたのですが、いつまで経っても帰ってこない。時間にして3時間ですよ。友人に「何でそんなに長いこと浮いているのか?」と聞くと、「気持ちええから。ストレスもなくなるし、スッとする」って。で、背中を触ってみると、ビーチに来る前はカチカチに緊張していたのが、みごとフニャフニャに緩んでいました。結局、タロサテラピー(海洋療法)の理論や、マリンスポーツによって海水中で人体が受ける作用や、水圧による体内の変化などについて調べるうちに、赤ちゃんが母親の腕の中で抱かれている時に感じる圧力とか、母体内で胎児が羊水から受ける心地よい圧であるとか、人体に受ける圧力が脳に及ぼす影響について理解することができたのです。ある一定のとてもソフトな柔らかーい圧を受けると、脳がものすごい弛緩(リラックス)するのです。ほら、昔はもっと体をさすってあげたり、さすってもらったりしていたでしょ。あの感じです。どれぐらいの圧かというと、数字にすると5kgを中心にプラスマイナス2kg。だいたい3kgから最高で7kgぐらい、子どもや緊張のひどい方には、3〜4キロぐらいの力でそーっと、3秒くらいかけてずーっと押して、硬く抵抗を感じる部分で5秒ぐらい静止するんですよ。最後にそーっと力を抜くというのを、背骨や尾てい骨の上を避けて、背中の左右の上から下へずーっとやっていく。入浴後の寝る前にやるとすごく睡眠が深くなる。たいていの人は圧が適正なら眠気を感じます。むすびで紹介したゼロウェイブストレッチの際にかける負荷はすべてこの強さが基本です。驚くほど弱いっていうか、ソフトな圧を用いるのがスタティック(静的)ストレッチのポイントです

体はいつも治りたがっている
昔、アメリカにランドーン博士っていう有名な医師がいて、人間は服を着ているだけで抑圧される生き物であり、自身が潜在的に知っている自分を癒すための運動(特殊な自動運動)を誘導することで、多くの患者の抑圧を解放し、治癒させたそうです。海に行くというのも、それだけで服装も身軽になって、すごく抑圧から解放されやすい。もちろん海洋からのマイナスイオンや太陽や砂の影響もある。浮き輪を使えば、海水の浮力に浮き輪の浮力がプラスされ誰でも簡単に反重力を体感でき、さらに小波のバイブレーション効果も加わるので、筋肉は自然に脱力し脳も弛緩します。 私自身も、海に行った時は浮き輪の代わりにライフジャケット(浮力帯)を着用したり、サーフボードにぶら下がってけっこう長い時間ぼーっとしています。結局、適切なソフトな圧を一定のリズムで筋肉に加えると、短時間で脳がリラックスして、眠りが深くなり、最終的に筋肉の緊張も緩んでくる。早ければ三日ぐらい続けると左右の筋肉のバランスが整ってきます。たったそれだけのことで、人間の身体って勝手に戻るんですね。よく言うでしょ、身体はいつも治りたがってるって。

-昨年11月号の森本さんの連載で、師である佐々木健人さんを「有気農法」・原子転換・活性水研究などの第一人者と紹介されていました。本物野菜の指導に全国を飛び回っておられるようですが。

「台風を予知した」有機農法の大根
命のエネルギーとか生命エネルギーとか、とても表現が難しいのですが、我が師、佐々木健人先生はライブプラズマっていう言葉をよく使われます。 ライブプラズマが強い野菜というのは、例えば稲でも、この間写真をお見せましたように(12月号54ページ参照)、根っこがもう全く違うんですよ。ほんとに力の強いお米とか、人参とか大根を食べたら、1日30品目なんて食材をそろえなくても、ひょっとしたら人の体内で必要要素に変換され、病気ぐらい簡単に治すような力を持ち得るんですよ、本物の農産物には本来それぐらいの力が備わっているんです。
「大根のイノチは4ヶ月前に台風を予知した」
命のエピソードとして北秋田の農園で実際にあった話ですが、その年の5月半ば雪どけを待って大根の種を蒔きました。5月末漸く出てきた葉は毎の2分の一位、有気農法(原子転換農法)に切りかえて失敗したかと思いながら1ヶ月毎に葉と根を観察したのですが、根は同じように育っているのに葉だけは常に半分の大きさにしか育たない。収穫迄あと1ヶ月の9月29日、リンゴを全滅させた彼の有名な「津軽台風」が直撃したのです。朝4時半台風一過、自動車を駆って畑へ。途中の仲間の大根の葉はスッ飛んで1枚もない。「あと一月で収穫できたのに」と思いながら自分の畑へ着いて眼を疑った。1枚も無くなっていない。ーーー結果考えられるのは、イノチの活性化した植物は自然と一体化して生まれて早々から台風直撃を予知していたと言えるのです。でも化学農法大根はイノチの感性が呆けて大きな葉を出して使命を果たさず短命に終わる。どちらの大根(植物)を食べるのが良いかを教えてくれた貴重なエピソードでした。
「常温核変換は当たり前の話」
植物本来の活性をいかにして生かすかが重要です。とにかく根が弱いとだめなんです。原子転換農法っていうのは農家を悩ます※未消化窒素の問題をすでに解決しています。硝酸イオン値を検査すればご理解頂けるのですが、最近問題となっている未消化窒素を完全に消化させますので当然多収穫で美味しくなる。通常では完全消化しにくいとされている未消化窒素なんてものは完全に処理されてしまいます。※窒素分は、通常、畜産糞尿を堆肥化したいわゆる堆肥や尿素、硫安などの形で(こちらはいわゆる化成肥料です)畑に施されます。これらは、微生物により分解され、硝酸の形になり始めて植物に吸収されます。※この農法によって活性化した土壌微生物は通常の数倍増しの水分や肥料を代謝する能力を植物に与えます。さらに光合成の能力も倍以上になりますので、太陽エネルギーの貯蔵庫である蓄積デンプンの量も質も向上し、とても美味しく体に良いでんぷんとなるのです。とにかく重要なのは根っこです。人間の腸も同じです。いかに優れた吸収能力を得るかが問題です。縁あって佐々木先生はライフプラズマに富んだお水を手に入れることができて、例えばそれを肥料の中に垂らして、二、三か月置いておくと全く違う元素組成に変わっているんです。そういうのは科学的に分析してきていますから、常温核変換なんていうのは、僕らの世界ではもう当たり前の話です。 特に常温、私達が普通に日常生活している温度内で、最も盛んに原子転換を起こすのはナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムの4元素です。桜沢如一さんが昔から言われていたことですけど。これも単純な足し算と引き算になっているんです。原子量といって、カリウム(39)に水素(1)を足したらカルシウム(40)に変化するとか、ナトリウム(23)に水素(1)を足したらマグネシウム(24)になるとか・・・有名なケルブランサイクルといいます。
腸内細菌や微生物との関係に注目
先日、佐々木健人先生に連れられ、京都で日本の原子転換研究のトップ3(北大工学博士:水野忠彦氏、九大工学博士:高尾征治氏、国際地球環境大学名誉教授:小牧久時氏)とお会いして色々お話を伺いましたが、物理の世界における原子転換はもう昔のようなオカルトや錬金術扱いされていた時とは違い、今はもう現実の世界で最先端の研究が進んでいるわけです。それも、もの凄い勢いで。詳しいことはいずれ“むすび”誌上に専門家の先生方にご登場いただけるよう了解を頂きましたのでお楽しみに。今後、量子の世界の謎がどんどん解き明かされるにつれて、原子転換とニュートリノとの関係や、原子転換と腸内細菌や微生物との関係なども色々分かってくるんじゃないかって思っています。これは推測ですが生体内原子転換には腸内細菌や水や温度が深く関わっているように思います。さらに想念や気のような見えない命のエネルギー、つまり僕らがライフプラズマって呼ぶ原子転換を促進するある種の生命エネルギー。これはたぶん共利共生のご褒美に腸内細菌や微生物が私たちの体に引っ張ってきてくれているっていうか、供与してくれてるんじゃないかと、そんな気がするんですよね。

 ―森本さんは、消費者運動などをされる中でマクロビオティックも勉強されたと聞きます。マクロビオティックにはどんなお考えをおもちですか。
週一回の玄米食でもマクロビオティック
アメリカではマクロビオティック・フードはとても有名になったのに、何でマクロビオティック・スポーツといった概念が出てこないのかなと。マクロビオティック・マインドとか、マクロビオティック・スピリッツなんて、マクロビオティックすることがとてもポジティブでおしゃれでカッコイイものっていうふうにしてかないと、やっぱり広がらない。マクロビオティックをやることって、これだけ楽しいことだよって。
食事療法に関していえば、マクロビオティックの食事には、完全な病気治しと、最適な健康を得る、そんな二つの方向があっていいと思っています。だけど、これまではどちらかというと、病気治しの方が幅を利かせてきたように感じています。 私の思うマクロビオティックの食事とは、白米もいい、七分づき、八分づきもいい、五分、六分もいい、発芽玄米もいい、白米と玄米の混合炊きもいい、雑穀や豆にもこんな多くの種類があってこんなに体にいんだよとか、バラエティーに富んだ食材や調理法など、食事を楽しく美味しくするテクニックを啓蒙するものであり、そこで初めて玄米や雑穀が私たちに寄与してくれる食物の力を学んだり体験したりするきっかけになることが最も大切かと思います。ふだんは白米で、週一回玄米食べるのもマクロビオティックだと、僕はそう認識しています。辞書で「マクロバイオティック」をひいたら大宇宙の生命観って出てきますけども、そこに玄米至上っていう意味合いは別にないわけですよね。正しい食事の方向へ引っ張ってあげることを基礎として、プラス、宇宙の生命観とか、そういう生き方を学んでいくのが、マクロビオティックというものだと思っています。※追加:ただもう、本来の和の伝統食や生活様式を啓蒙したり、食物の素晴らしさ、自然の中での遊び、命の尊さ、新しい時代に相応しいクリーンなテクノロジーだとか、そういうものを広げんがためのマクロビオティックなら、僕はもう、こんな素晴らしいものはないと思う。でも、ドグマ的な思想を振りかざし、人を食の恐怖へと引きずりこみ、脳を緊張させる輩があちこちで悪さをしていた(笑い)勝手にマクロビオティックの名前でやるもんですから、皆さん混乱されます。困った問題です。

玄米の質や食べ方にも問題ありそう
お米屋さんで売っている無農薬や有機栽培の玄米を買って調べても、最近は特に力のない玄米が多くなってきたのがとても気がかりです。ダイオキシン汚染など様々な要因が複雑に絡みあっているようです。こんな玄米を朝昼晩と食べながら、一切の動物性食を拒否していれば、いずれ微妙な問題が出てくると思います。 いろんな方がご相談に来られますが、玄米を食べ過ぎている人も多い。完全に消化不良起こしてる人とか、噛まずにバンバン食べてどんどん肥満する人とか(笑)、いろんなパターンがありますが、自己流で栄養のバランスを崩している方が多いようです。例えば、現実問題としてビタミンB群を各5〜6mg摂るためには、理想的な1日の献立の5〜6倍の量を摂らないと足りない計算になります。理想的な献立で摂れるのは、せいぜい脚気など古典的な欠乏症を防ぐための量なのです。完璧な玄米菜食も時には大切と思いますが、状況によっては難しい問題を含んでいるのも事実かと思います。
―森本さんはいろいろな方から相談を受けてアドバイスをされていますが、どんなことを話されるのでしょうか。

死生観もつことで人生がより深まる
みなさんが死生観をもってるかというと、相談に訪れるほとんどの方はもってないというより、考えたことがない。もちろん信仰をもっている方は多いのですが、じゃ死生観は?って話した時に、みなさん意外と何もないんですよね。宗教が紐解くあの世の解釈があまりにも細分化し、複雑怪奇になってしまったせいもあるのかもしれません。あの世が在るとか、霊の世界が在るとか無いとか、誰にも証明できるものではありません。でも、存在すると信じて生きればメリットはこんなにあるよっていうお話はできますよね。死生観さえあれば、何のためにこっちへ生まれてきたかっていう人生の意味や、生涯をかけて何を経験し、どんな自分を表現するのかとか、ちょっとは前向きに考えられるようになるんですよ。僕の死生観はね、あの世っていうのは海の凪(なぎ)の世界をイメージしています。穏やかーな天気で、静かーな波に乗ってぷかぷか、気持ちいいなっていう、そういう浮いてる様な状態。静かな凪の世界です。かすかに自分っていう存在も認識できるのでしょうが、自分と他人の命の区別っていうのがつきにくい。あくまでも全体が一つの命という感覚。思ったことはすぐ叶う、悪意の一切存在しない、やさしさに満ち溢れた心の世界ですね。しかし、あの世では肉体と言う感覚器官は無い分けですから、例えば、お日さんに当たって、ああ、暖かくて気持ちいいとか、そよ風が吹いて、ああ、頬にあたる風が気持ちいいな〜なんて、感覚が体感できない。夫婦げんかしてる、あ、楽しそうとか、向こうから見ると、こっちの世界がものすごく変化に富んだワクワクして面白い世界って感じる。何て楽しそうなんだと。なら、何しにこっちへ生まれてきたといったら、そうしたことを体験しに、経験しに、感じるために生まれてきた。だから、僕らは基本的に凪の世界にいて、そして、こちらに来て、いろんな勉強や経験を積み重ね魂を鍛え、そして寿命を終え、あの世へ帰ると。
あの世では個っていう存在は非常に認識しにくい世界ですから、再びこちらへ来る時は、おそらく過去生も含め経験したすべての生涯の記憶をDNAに刻んで、遺伝子に携えてこっちへ来る。そうすることで個っていう自分を認識しやすくなるっていうふうな自分の死生観があるんですよ。おそらくDNAが原因で、生まれてくるたびに似たような失敗をいつもしてしまう。あの世ではみんな前向きですから、今度生まれ変わった時こそ、ちゃんとやろうと思って、また、こっちに来る。かと言って、記憶をもったままだと勉強になりませんからね。ただ、それらしきことはDNAが覚えてる。何かこれ、似たようなことやってるんじゃないかな、ふとそういったことを考えることがありますよね。だから僕の中ではどうしても、経験しに来たっていうのがあるんですよ。経験というのは、善も悪も全部相対界ですから、いいことも悪いことも含めて経験しにきたって、僕は考えるから。やはり、人より多
くの喜びを得たいのであれば、多少失敗は多くても、たくさんの経験、いろんなことにチャレンジする人生の方が喜びも大きいものになりますよね。いろいろ調子崩してる人見てると、どうも喜びの少ない人生を歩んでる(笑)日本という国を含めて、日本人全体が萎えるっていう時代ですよね。
だから、さっき言ったように上から下へ、トップダウンで指導して、心の問題やからこうしなさい、ああしなさいとかお話しても、その時はいい話だなと思っても、なかなか人は変われないですね。食事でも、玄米菜食がストレスになって、体調をよけいに崩してる人もいる。食事のことを中途半端に覚えたばっかりに、恐怖が先行し、脳に緊張状態が生まれてしまう。人間って、頭でものを考えて自分を変化させようとするとすごく難しいのですが、起床時間や就寝時間を変えるとか、ウォーキングを始めるとか、まず何かひとつでいいから行動を変化させると、精神が追随して自動的に変化する場合が多い。単調な生活を何十年も繰り返した挙句、ノイローゼ気味なご主人に「明日から会社の帰りに違う駅で降りてみたら」ってアドバイスすると、次の日からの帰り道、別の駅のうどん屋さんに入ったり、本屋さん寄ったり、どんどん積極性を帯びてきて、最終的に違う駅で見つけた陶芸教室に入って、「楽しくて仕方がない」って。最近も相談に訪れた三十代の悩める男性2人に「どうすれば強く前向きに生きれるのですか?」と質問されました。2人には到底他人に話せないような、私の過去の失敗話をお話したのですが、私にとっては過去の終わった経験に過ぎません。すでに心の中でクリアーできているからこそお話できるのです。どんな不幸や失敗であれ、自身を切磋琢磨するための経験、つまりこの世のレッスンと考えられれば、その時は辛く悲しくても、いつかは乗り越え、さらに強く太く自分自身の根っこを成長させることができるものです。不幸な生い立ちとか、失敗した事や、他人を傷つけ後悔した経験とか、全部自分が強く優しくなるための、おいしい経験である。こういうのは大阪人特有の気質かもしれません。大阪人はよく冗談で、不幸話とか、人をどれだけ傷つけたとか、こんな恥ずかしい目にあったとか、自分の心の中で処理できてる昔の経験を、けっこう笑い話にする部分があります(笑い)
私を訪ねてきてくれた方が、少しでもアグッレシブにポジティブにその後の人生を変化していければと思い、もし、人生が劇ならばっていうお話しをよくします。人生という名の劇の中では全員が主役であり、監督です。自分が主人公で監督なのですから、いつでも、好きな時に自分の思いどおりの役柄を選択することができ、ストーリーを変化させることができるのです。どうせなら明るく前向きな役柄を演じてみるのも楽しいものです。人生が仮に劇だとすれば、生まれてから死ぬまでずっと幸福っていうのは、おもしろくも何ともない。それはやっぱりひどい境遇に生まれ、苦労に苦労を重ね、そして最後は幸せになったほうがおもしろい。私はどうせなら、ああ、おもしろかったと思いながら死にたいと思っています。でも、それにはやはり人より多くの失敗を経験し、それを乗り越え、得た喜びこそ大切だと思うのです。やはり失敗の数だけ喜びの数っていうのは増えていくから。不幸な生い立ちなんていうのは、特に男の子なんかにとって、いかにおいしい経験かということをちゃんと言ってあげないといけないんですけども、親自身がそれをちゃんと(自分の中で)クリアできてない。 経験しに生まれてきたんだからこそ、失敗もええこともね、いっぱいやらんと。やっぱり、アグレッシブに生きる人生は、リスクも大きいけども、逆に喜びもおっきくなるから。そういう部分から話ししていかないと、なかなか食事とかでもうまくいかないんですね。いろんなあつれきから逃れるために、食事の方に行く人も割と多いからね、見てると。何とかしょうと思って、焦れば焦るほど泥沼に入っていく人多い。 僕の場合、そういう、自分のちょっとしたアドバイスで、人が生き方とかいったものを良い方向に変えてくれることが何よりもうれしいし、満ち足りた気持ちになれる。それがやっぱり自分のライフワーク、宿命みたいなものを感じますよね。

※取材を終えて
「生体内原子転換は当たり前」と、ドキリとするような話をさらりと口にする森本さん。世間話を含めていろいろと面白い話題が尽きず、ロングインタビューとなりました。2時間近くのテープを記事にまとめるのに苦労しましたが、エッセンスは伝わったのではないでしょうか。とにかく異色の人でした。
 
BACK